2015年12月 |
羊年の1年が過ぎ去ろうとしている。
ゆっくりと長かった秋の名残がまだ見られるある日
上野の東京国立博物館に行ってきた
いつものユリノキ(半纏木)が紅葉して枝張りの円周を金色に染めていた
そういえば紅葉の時期にこの木を眺めるのは初めてであった
ちょうど庭園も解放されていたので、しばし散策
藪柑子、千両、黄実千両などこれからお正月に向け生ける花が見られた
孔子との関りを言われるカイノキも赤味、黄色味の細長い小ぶりの葉が
その実とともに地を覆っていた
年月を重ねた大樹を眺めながら今年、逝去された人々を想う
お稽古に励む小学校6年生のお弟子さんから「曾おばあちゃん亡くなりました」と告げられました
その少し前、彼女がニューサイランを生けた翌週
「曾おばあちゃんがニューサイランをくるっと丸めていけました」との話
103歳になられるこの方は長い間、小原流の生け花に励み、研究会に出席されていたのでお名前を存じ上げていたのです
100歳を超えてなお、長年身に着けた花の技法を、表現を試みるお姿を想像して
「素敵なお話を聞かせてくれてありがとう」と感動した直後の訃報でした
これまでの人生でNO,1ともいえる思い出の1ページを綴じることもできた年
また、ユリノキに会える日をまつことに
※1.ユリノキ 2.ユリノキ 3.カイノキ(クリックで拡大)
|
|
2015年11月 |
駆け足の秋です
なぜか駅前広場にポツンと1本、
その丈2m以上のひまわりが伐り残されて
群生していた仲間を忘れないでと孤高の姿を誇示している
すでに初冬の花、つわぶきは花を次々と咲かせ
桂の葉は色づき始めている
盛岡駅前の枝垂桂はすでに紅葉を終えて散り急いでいる頃でしょうか
都心の虎ノ門にある金毘羅様の脇にある桂の大樹に
もうすぐ会うのが楽しみです
10数年も前のことです
知人のお誘いを受け、とある美術館の集いに出かけました
庭のつわぶきをおおきなガラス窓を背に生けさせてもらいました
大きなつわぶきの葉を面に、その背後に花を配して
ガラス越しに差し込む陽光にシルエットの花が映えていました
楽しい花遊びのつどいを忘れていたことに気づかせてくれた
石蕗の花です
※1.ひまわり 2.かつら 3.つわぶき(クリックで拡大)
|
|
2015年10月 |
空を見上げて散策する人々
オープンテラスでワインを、食事を愉しむ人々
空には大きなおおきな光り輝くスーパームーン
どの顔も幸せに満ちて月の輝きに映えていました
街に行き交う人々に寄り添う、樹齢300年を超えるオリーブの木々も
一晩中、月明かりを浴びて満ち足りた一夜を過ごしたことでしょう
異常気象のこのごろですが、PCに向かっている今
小学校の運動会の鳴り物入りの応援が風に乗って聞こえてくると
お天気がもたらすこの上ない恵みを感じます
お稽古に届く秋草に、「お花屋さんありがとう!」
※1.オリーブ 2.スーパームーン 3.スーパームーン(クリックで拡大)
|
|
2015年9月 |
猛暑が一転、突然の秋!
秋草、実物がお稽古に届くようになりました。
学生さんたちはまだ夏休みで、季節の花に触れずに季が過ぎようとしています。
この夏、「ぞ・う・け・い展」に出品した若者に竹のオブジェをいただきました。
と言うより、あまりの素敵な姿・形に無理やりいただいたのです。
竹林にすっくと立つ若武者の様!本作品の試作とのことでした。
竹を掘り出すだけで2週間、本体に鋲を打ち込むのに2週間をかけたと聞きました。
作品化する道程でたくさん竹との会話をして、触れて感じたことから
その人にしか得られない多くを得たことだと思います。
試作の竹は、ひと月で青竹からあめ色になり花を生けてほしい面影です。
若い方たちからエネルギーをもらい、そして伝えられることがあるなら
歳を重ねることも悪くないと思うこの頃、やはり物想う秋です。
※1.竹のオブジェ 2.竹のオブジェひと月後(クリックで拡大)
|
|
2015年8月 |
今年の蝉は7月16日にかよわい鳴き声を初めて耳にする。
その翌日、台風直撃の中出向いた祇園祭の山鉾巡行はその間だけはさほどの雨風でなく
開催も危ぶまれた中、受け継がれてきた人知の及ばぬ力を感ぜずにはいられなかった。
近隣にお住いの楽美術館で出会った方から、暮らしているからこその貴重なお話を伺うことができた。
お茶のお家元、神社の伝統行事、老舗の数々…その人々との交流、つながりが伝統を支えている!
楽しそうにお話し下さる80代と伺った方と別れた後、日々の日常の生活でどれだけ忘れていたこと、
失ってしまっていたことが多いかを思い起こした。
小さいころにはまだ都会でも日本の伝統文化が身近にいっぱいあった!などと……。
冷房の設備がない部屋でも庭からの風が心地よく、麻のお座布団に坐してお茶をいただくなど
全く忘れていた感触!
おもてなしを頂いた庵主様から「京ではまだ日本種の花を手に入れ、生けることができます」と聞かされた。
都会に暮らす人々にとってとっくに忘れ去り非日常になってしまった生活を、日常として暮らすことの難しさ、
ある種の贅沢を経験する夏でした。
京のご老人によると蝉はとっくに鳴きだしていたそうです。
8月に入り、この猛暑で蝉の大合唱などとのんきに言えないこの頃です。
※1.黒ホオズキ 2.黒ホオズキ、マルメロ(クリックで拡大)
|
|
2015年7月 |
今年はいつごろ梅雨が明けるのでしょう。
梅雨、といえば花は紫陽花とイメージする人が多いでしょうが
このアガパンサスも仲間に入れてあげてください。
真っすぐな茎の先に、打ち上げ花火のようにパッと広がった紫や白い花!
ほんとうはその姿、色から真夏の花という方が相応しいのでしょうが・・・
梅雨明けの頃には咲き終わります。
小さな黄色い蝶々が花から花へと飛ぶすがたを幼子が一生懸命手を伸ばして…
つややかな質感の紫の花に明るい黄色の蝶!とてもきれい!その瞬間は撮れず残念でした。
花に雨のしずくが作る大小の水滴もとても美しい!
「アガパンサスが咲いていました!」と何人かの方に言われました。
マンションや、ビルの庭に植えこまれて目につく身近な花になったようです。
※1.アガパンサス(7月初旬) 2.アガパンサス(6月中旬)(クリックで拡大)
|
|
2015年6月 |
燕子花、睡蓮、河骨・・・水物を生ける季節です。
例年なら季節に先駆けて生ける感じが強いのですが
記録的な暑さが続いた5月だったので
まるで花の方が季節を追っているかのよう!
・・・となると蓮の葉、巻葉と花を生けるには手配が難しい。
季節の花を生けることが入手も難しく、
この上なく贅沢なことになってきました。
出先で見つけた珍しい白花のツユクサ(トキワツユクサ)、
幼いころ、ラジオ体操に向かう路地に咲いていた紫のツユクサ!
手描き友禅を手すさびに習って以来、白生地にこの汁で下絵を描き
色をさし、工程を経て出来上がる時には消えてしまうこの花が
とても儚く、それゆえにより美しいと思うようになりました。
今日も梅雨寒という言葉も使うことがなくなると思える日差しでした。
※1.常盤露草 2.燕子花 3.亀(クリックで拡大)
|
|
2015年5月 |
今年は琳派400年ということで様々な催しが開かれている。
熱海のMOA、東京青山の根津美術館、都心のデパートは時期を変えて二か所
琳派にまつわるシンポジュームも開催され、TV番組でも取り上げられた。
数十年前から何度も見る機会を得た尾形光琳の「燕子花図屏風」
やはり風薫る季節に根津で拝見するのが一番!
池に燕子花が咲き、新緑が映える庭園と燕子花の美しさを昇華させた屏風絵を堪能する。
その5月にサントリー美術館の「若冲と蕪村」展で目にした年表で
若冲と蕪村が生まれた年に光琳が逝去していることを知り生身の光琳を実感した。
と同時に40年前、アメリカ・クリーブラント美術館で渡辺始興の燕子花図屏風を
予期せず見たときの驚きを思い出した。
散策しながら銀杏が可愛らしい葉を芽吹き、小さなちいさな葉でも形はいちょうで
青空を背景に見上げるとこれもまた一幅の絵画!
今年のモッコウバラは満開が早かったがこれは生けたい花のひとつ。
そして今日はルーフバルコニーで咲いた可憐な花をいただきました。なんて清々しい!
めぐる季節、次はどんな植物と出会えるか楽しみです。
※1.銀杏 2.モッコウバラ 3.シランとキスゲ(クリックで拡大)
|
|
2015年4月 |
今年は北上する桜前線のスピードがとても速いように感じます。
啓翁桜、彼岸桜、吉野桜、初御代、おかめ桜・・・。
この春も初めて生ける桜など何種もの桜を生けることができました。
後は八重桜が届くといいのですが。
4月4日は皆既月食でした。
川沿いの桜を撮っていたときに教えて下さる方がおり
満開の桜と、月食が見られるまたとない機会だと…。
その日、月は雲間に隠れ花と月のコラボを見ることができず残念でした。
桜に気を取られている数日の間にいっせいに若葉が芽吹き季が刻まれています。
※1.桜 2.桜 3.桜(クリックで拡大)
|
|
2015年3月 |
ひな祭りが過ぎ、一雨ごとに春めいて
お花見の予定を話し合うこの頃です
「今年の開花予報は?」
「月末の土、日だとチラッとしか咲いてなくて寂しいかも」
「 4 月の土、日は満開かな?」
「夜桜は寒いから……」
なかなか話がまとまらないけど、それもまた楽しいことです。
先ごろの花展の折、海外からいらした方にいけばなを楽しんで頂いたり
ワシントンのさくら祭りのころ、出張に合わせて
いけばなのデモンストレーションにチャレンジするSさん!
やはり今年も、まちわびて春!
※1.―椿の季― 2.―椿の季―(クリックで拡大)
|
|
2015年2月 |
創流120周年
いけばな小原流展
生命のかたち
BIRTH AND REBIRTH
日本橋高島屋8階催事場
前期 2.26(THU)-28(SAT)
後記 3. 1(SUN)- 3(TUE)
花愛舎・原明子は前期に出品します。
盛花を創始したいけばな小原流の歴史とこれからをぜひご高覧下さい。
――――――――――――・・・・・・―――――――――――――
花展が近づいてきました。
いけばなの世界はもうすっかり春です。
次々と花木がおけいこに届きウキウキとした気分!
1っヶ月前に生けた葉牡丹がグングンと真っすぐに伸び
後から添えた菜の花と背比べを始めました
おなじアブラナ科とはいえ、とてもお似合い!
花展をご覧になっていけばなを楽しんでいただけたら嬉しいです
※1.葉牡丹 2.葉牡丹、菜の花 「せいくらべ」(クリックで拡大)
|
|
2015年1月 |
明けましておめでとうございます
寒さ厳しい新年に八重山諸島で見かけた
蝶々とめでたい植物を添えます
仲間川のジャングルクルーズの途中
マングローブの枝先にカワセミが!
美しいブルーの姿に奇跡と思う出会い
今年が良い年になりますように
※1.オオゴマダラ(蝶) 2.オオゴマダラの黄金の蛹(さなぎ) 3.サンゴアブラギリ(クリックで拡大)
|
|